建設業許可を持っている個人事業主の方が会社を設立する場合、「許可はいったん廃業して、法人で取り直しになるのか」という点が気になるところだと思います。
現在は、事業承継の認可という手続きにより、個人事業主が受けていた建設業許可を、法人成り後の法人が引き継げる場合があります。この記事では、山形県知事許可を前提に、法人成りのときの認可制度の内容と、申請の時期・必要書類を整理します。
法人成りは「事業承継(譲渡及び譲受け)」にあたります
建設業許可を受けている者について、建設業の全部を他の者が承継する場合、所定の手続きを経て認可を受けることで、承継先が承継元の許可を含む建設業者としての地位を引き継ぐことができます。
認可の種類は次の4つに分かれており、個人事業の法人化(法人成り)は「譲渡及び譲受け」に該当します。
| 譲渡及び譲受け | 個人事業の法人化(法人成り)、個人事業主の事業承継(代替わり)、法人の事業譲渡、法人から個人事業主への譲渡 |
|---|---|
| 合併 | 法人の新設合併、吸収合併 |
| 分割 | 法人の新設分割、吸収分割 |
| 相続 | 個人事業主の死亡による相続 |
「建設業者としての地位を承継する」とは、建設業法第3条の許可を受けたことによって発生する権利と義務の全体を引き継ぐという意味です。そのため、承継人は被承継人と同じ立場に立ちます。過去の監督処分や経営事項審査の結果も、あわせて承継することになります。
山形県では「承継予定日の60日前まで」に申請します
- 事業承継(法人成りを含む):承継予定日の60日前までに認可申請
- 相続:被相続人の死亡後30日以内に認可申請
相続を除き、承継の事実が発生する前に認可を受けることが要件とされています。会社の設立日だけを先に決めてしまうと、認可が間に合わない形になることがあります。
手続きの流れは、①事前に事業承継について認可を申請 → ②許可行政庁による審査 → ③認可の通知 → ④事業承継の日に建設業の許可についても承継、という順序になります。
なお、申請の受付期間や事前相談の取扱いは申請先によって異なります。山形県以外の県で法人成りをお考えの場合は、その県の手引きをご確認ください。
認可を受けるための要件
1.建設業の全部を承継すること
承継元が受けていた建設業許可の全部を、承継先に承継させる必要があります。一部の業種だけを承継させることはできません。承継させない業種がある場合は、認可申請の日の前までに、その業種の廃業届を提出します。
2.承継後の全業種について、承継先が許可の要件を満たすこと
承継先の法人が、承継後に持つことになるすべての業種について、常勤役員等(経営業務の管理責任者等)・営業所技術者等をはじめとする許可の要件を満たしている必要があります。
3.一般・特定の区分が同じであること
承継元と承継先がどちらも許可業者で、同じ業種の許可を持っている場合は、一般・特定の区分がそろっている必要があります。区分が異なるときは、不要な方を認可申請の前に廃業することになります。
法人成りのときに特に気をつける点
定款に記載する発起人との事業譲渡契約が必要です。この場合、役員等の一覧表・定款等は、申請時には予定のものを添付し、正式なものを後日提出する取扱いとされています。
事業開始(予定)日は、事業承継日とします。
個人事業主の法人成りでは、当該個人事業主と法人成り後の法人との間の譲渡契約書が必要書類とされています。会社の設立登記を進める前に、建設業許可の承継スケジュールとあわせて組み立てておくと、日程の手戻りが起きにくくなります。
許可番号と有効期間はどうなるか
| 許可番号 | 建設業許可業者が無許可業者に承継される場合は、従前の許可番号が引き継がれます。複数の許可業者間で承継する場合は、引き継ぐ許可番号を選択できます。 |
|---|---|
| 有効期間 | 承継許可等に係る残存期間にかかわらず、承継の日の翌日から5年間とされています。 |
| 申請手数料 | 認可申請に伴う手数料は発生しません。 |
| 申請方法 | 認可申請書(正本1部・副本2部)を管内の総合支庁へ郵送(書留又は簡易書留)又は提出します。認可申請は電子申請ができません。 |
新規許可を取り直す場合と比べると、許可番号を引き継げること、許可の空白期間が生じない形で進められることが、この制度の大きな意味になります。
法人成りの日程から、ご相談ください
建設業許可MIRAI(行政書士事務所みらい)は、建設業許可に特化した行政書士事務所です。代表は行政書士・1級土木施工管理技士で、地方公務員として約30年、工事を発注する側におりました。相談は無料です。お気軽にご相談ください。
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認可申請で必要になる主な書類
譲渡(個人事業主の法人成り)の場合、次のような書類が必要とされています。該当の有無により変わるため、主なものを挙げます。
- 譲渡・譲受け認可申請書(様式第22号の5)
- 譲渡及び譲受けに関する契約書の写し(個人事業主と法人成り後の法人との譲渡契約書)
- 役員等の一覧表、営業所一覧表、営業所技術者等一覧表
- 工事経歴書(直前1期分)、直前3年の各営業年度における工事施工金額、使用人数
- 誓約書
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書・略歴書、経験年数を証する書類、常勤性・居住地を証する書類
- 営業所技術者等証明書、資格を証する書類(又は実務経験証明書)、常勤性・居住地を証する書類
- 健康保険等の加入状況
- 許可申請者の調書、成年後見登記されていないことの証明書等、身分証明書
- 財務諸表(直前1期分。決算期未到来の場合は開始貸借対照表も可)
- 定款、登記事項証明書、営業の沿革、所属建設業者団体、主要取引金融機関名
- 事業税納税証明書(新設法人の場合は省略可)
- 役職員名簿(県独自様式)
- 委任状(行政書士等の代理人に手続きを委任する場合)
申請書は、承継者の承継予定日時点での状況で作成します。確認資料等も、原則として承継者に関するものが必要です。認可申請の時点で提出できない書類は、後日提出する取扱いとされています。
後日提出とされている書類
| 承継の日から2週間以内 | 健康保険等の加入状況、常勤役員等および当該常勤役員等を直接に補佐する者の常勤性確認資料、営業所技術者等の常勤性確認資料 |
|---|---|
| 承継の日から30日以内 | 定款、登記事項証明書、営業の沿革、所属建設業者団体、承継直後の時点における財務諸表 |
法人を新しく設立する場合、登記事項証明書や定款は申請の時点でそろっていないことが通常です。そのため、何を先に出し、何を後から出すのかを最初に整理しておくことが、この手続きの要点になります。
よくあるご質問
Q.会社を作ってから、建設業許可のことを考えても間に合いますか。
A.山形県では、事業承継の認可申請は承継予定日の60日前までとされています。設立日や承継日の設定によっては、認可が間に合わない形になることがありますので、設立の段取りと並行してご相談ください。
Q.一部の業種だけを法人に移すことはできますか。
A.建設業の全部を承継することが要件とされているため、一部のみの承継はできません。承継させない業種がある場合は、認可申請の日の前までに、その業種の廃業届を提出することになります。
Q.個人で受けた経営事項審査の結果は、法人に引き継がれますか。
A.建設業者としての地位の承継人は、被承継人が受けた経営事項審査の結果についても承継することとされています。詳しい取扱いは、承継の時期や内容によって変わりますので、個別にご確認ください。
Q.山形県以外でも同じ手続きですか。
A.認可制度そのものは建設業法に基づくものですが、申請の受付期間や事前相談の運用、必要書類の細部は申請先によって異なります。当事務所は東北6県・北関東・甲信越・北陸に対応しており、申請先の手引きを確認したうえでご案内します。
法人成りの予定が決まったら、まずご連絡ください
承継日の設定、廃業届の要否、後日提出書類の段取りまで含めて、ご事情を伺ったうえでご案内します。ご相談とお見積りは無料です。
行政書士事務所みらい/山形県山形市七日町一丁目2-36 CROSS七日町216
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出典:山形県「建設業許可の手引き(令和8年4月)」/国土交通省「建設業許可事務ガイドライン」。記載内容は山形県知事許可を前提としています。申請先によって取扱いが異なる場合がありますので、実際の手続きにあたっては最新の手引き等をご確認ください。