建設業許可MIRAI
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改正建設業法・労務費に関する基準「材工一式」の見積書が通らなくなります。令和7年12月からの新しいルール
令和7年12月2日、中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を作成・勧告しました。同月12日には改正建設業法が全面施行されています。見積書の書き方そのものが、法律の規制の対象になりました。
令和8年8月27日
「材料と手間で一式いくら」。長く当たり前だった見積りの出し方が、法律の側から見直されました。値引き交渉の場面だけの話ではありません。見積書を作る段階から規制がかかります。
下請として見積書を出す会社にも、元請として見積書を受け取る会社にも、どちらにも関係します。まず、何が変わったのかを整理します。
令和7年12月に何が起きたか
改正建設業法(令和6年法律第49号)により、中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を作成・勧告する仕組みが設けられました。この基準が令和7年12月2日に中央建設業審議会で決定・勧告され、同年12月12日に改正建設業法が全面施行されています。
基準は、職種分野ごとに、単位施工量当たりの労務費という形で定められています。考え方は「公共工事設計労務単価 × 適正な歩掛かり」です。ここで出た金額に数量を掛けたものが、その工事に通常必要と認められる労務費という位置づけになります。
対象は公共工事だけではありません
この基準は、公共工事・民間工事の別を問わず、下請取引を含むすべての建設工事の請負契約を対象としています。「うちは民間の仕事しかしていないから関係ない」とはなりません。
見積書についての新しいルール
国土交通省が示している内容を、立場ごとに整理します。条文は建設業法です。
工事の種別ごとに材料費・労務費・法定福利費の事業主負担分・安全衛生経費・建設業退職金共済制度の掛金などの内訳と、工程ごとの作業・準備に必要な日数を記載した見積書を作成する。
見積書に記載する材料費等の額が、その工事を施工するために通常必要と認められる額を著しく下回るものであってはならない。
工事の規模等に応じて十分な見積り期間を設け、提出された見積書を考慮・尊重する。
注文者は、提出された見積書に対して、労務費等が著しく低くなるような見積りの変更依頼をしてはならない。
正当な理由なく、総価として通常必要と認められる原価に満たない金額で契約を締結してはならない。改正により、注文者側だけでなく受注者側にもこの禁止が及びます。
通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期による契約締結は、注文者・受注者ともに禁止されています。
違反した場合の取扱い
建設業者は、国土交通大臣等からの指導・監督の対象となる可能性があります(第28条、第41条第1項等)。発注者については、著しく低くなるような見積り変更依頼を行い、その金額で契約を締結した場合、勧告・公表の対象となる可能性があります(第20条第7項)。
「一式」がなぜ通らなくなるのか
禁止されているのは「安く受けること」そのものではなく、労務費等が著しく低い見積りです。ところが「材工一式 ◯◯円」とだけ書いた見積書には、労務費がいくら入っているのかが表れません。著しく低いかどうかを、書面の上で誰も確認できない状態になります。
だからこそ、国土交通省は新ルール下の取引について「労務費等を内訳明示した見積書が重要」としています。内訳が出ていない見積書は、値下げ交渉のときに守る材料を持っていない見積書でもあります。
具体的に問題になりやすい出し方
- 公共工事設計労務単価を明らかに下回る労務単価で人工を計算している
- 実態からかけ離れた効率のよすぎる歩掛かりで、人工を少なく積んでいる
- 元請から言われた総額に合わせるため、労務費だけを削って帳尻を合わせている
令和8年1月に改訂された建設業法令遵守ガイドライン(第12版)では、当該工事の労務費や労務単価等が最低賃金を下回るほどの低い額となっている場合は、通常必要と認められる労務費と比べて著しい乖離があると当然に判断される旨が示されています。
また、令和8年1月5日には国土交通省から「通常必要と認められる労務費を著しく下回るおそれのある取引事例集」が公表されています。自社の出し方が近い形になっていないか、確認しておく価値があります。
今のうちに整えておく3つのこと
STEP 1
見積書の様式を、内訳が出る形に変える
材料費・労務費・法定福利費の事業主負担分・安全衛生経費・建設業退職金共済制度の掛金。この区分が並ぶ様式に一度作り替えてしまえば、以後は数字を入れるだけになります。国土交通省は、見積書の様式例とその書き方ガイド、職種ごとの標準見積書の作成支援を進めるとしています。
STEP 2
単価と歩掛かりの根拠を、手元に残す
問われるのは金額そのものより、その金額をどう積んだかです。使った労務単価と歩掛かりが後から示せる状態にしておけば、値下げを求められた場面でも、感覚ではなく数字で話ができます。
STEP 3
見積書を交付し、保存する
国土交通省は、注文者から請求があった場合は契約成立までに見積書を交付しなければならないこと、作成・提出した見積書は10年間保存することを示しています。出しっぱなしで手元に残っていない、という状態は避けてください。
経審・入札を受けている会社は、もう一つ関係します
この労務費のルールの実効性を確保する仕組みとして、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」が設けられました。そして令和8年7月1日以降に申請する経営事項審査から、この宣言がW評点の加点項目になっています。
加点は、宣言の日付以後を審査基準日とする審査から反映されます。決算日より前に宣言を終えている必要があるという点が、実務上いちばん間違えやすいところです。詳しくは経営事項審査・入札参加資格申請のページに整理しています。
よくあるご質問
作成そのものは努力義務です(第20条第1項)。ただし、記載する材料費等の額が通常必要と認められる額を著しく下回ってはならないという部分は禁止規定です(同条第2項)。また、注文者から請求があった場合は、契約成立までに見積書を交付しなければならないとされています。
労務費等が著しく低くなるような見積りの変更依頼は、注文者側に禁止されています(第20条第6項)。内訳明示の見積書を出していれば、どの費目を削ることになるのかがその場で示せます。話の持っていき方も含めて、迷われたらご相談ください。
労務費に関する基準は、公共工事・民間工事の別を問わず、下請取引を含むすべての建設工事の請負契約を対象としています。
そうではありません。規制の対象は、通常必要と認められる労務費等を著しく下回る見積りや、正当な理由のない原価割れの契約締結です。技術や施工体制の工夫による競争が否定されているわけではありません。
個別の工事内容によって変わるため、一律の線引きはありません。国土交通省の労務費に関する基準のポータルサイト(roumuhi.mlit.go.jp)に運用方針が掲載されています。自社の出し方が事例集にある形に近いかどうか、一度見比べてみてください。
この記事で参照した資料
- 国土交通省「労務費に関する基準」関連リーフレット(参考資料1〜3)
- 労務費に関する基準(令和7年12月2日 中央建設業審議会決定)/同 運用方針
- 建設業法令遵守ガイドライン(第12版・令和8年1月/国土交通省不動産・建設経済局建設業課)
- 国土交通省「通常必要と認められる労務費を著しく下回るおそれのある取引事例集」(令和8年1月5日)
- 経営事項審査の主な改正事項(令和8年2月6日公布・令和8年7月1日施行)
見積書の出し方や、経審の準備でお困りでしたら
相談は無料です。お手元の書類は、スマホで撮った写真を送っていただく形で構いません。今の見積書をそのまま見せていただければ、どこを内訳に分ける必要があるかからお話しできます。
営業のお電話はお断りしています。
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